熊本県の人口動態を探る ~外国人人口の動向について~

 当研究所では、2023年 7 月号と2024年 6 月号に「人口減少問題と地方経済への影響」(前後編)を
公表した。前編では、出生数や死亡数のデータを整理し、出生数減少の要因や人口減少が社会へ及ぼ
す影響などを分析し、後編では、男女別の転出入者に着目し、社会増減の観点から人口減少を分析し
た。なお、2024年10月号には「熊本県の人口減少要因を探る~若者の人口流出について~」と題し、
転入数と転出数について年齢階級別で分析し、特に県外への人口流出が問題となっている若者世代に
ついてレポートを公表した。
 本稿は、これまでの「人口減少」に関するレポートの一環として、増加する外国人人口に着目する
ものである。

はじめに

 少子高齢化の進行と人口減少の深刻化に伴い、働き手としての外国人の存在感が高まっている。総
務省が2024年 7 月に発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」では、2024年 1 月
1 日時点の外国人は332万3,374人に達し、初めて300万人を超えた。熊本県でも、外国人人口は増加しており、2024年の増加率は前年比+24.2%と全国 1 位となった。
 外国人の積極的な受け入れは、地域の多様性を高め、新たな文化や技術の導入を促進する他、人手
不足が深刻化する地域経済の持続的成長において重要な役割を果たしている。ただ、言語や文化の違
いなどを背景に様々な課題もあり、支援や受け入れ体制整備が求められている。
 そこで、本稿では、熊本県における外国人人口の動向を整理する。

目次

はじめに
1.熊本県の外国人動向
2.地域別の外国人動向
3.「選ばれる熊本」の実現に向けて
おわりに

レポート一部

1.熊本県の外国人動向
(1)外国人人口の推移
 熊本県の外国人人口は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年と2022年には減少したものの、
おおむね増加傾向であり2024年には25,121人に達した(図表 1 )。 
 なお、2020年、2021年を除き前年比増加率も上昇傾向であり、2023年、2024年は全国を大きく上回
る増加率となった(図表 2 )。

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