【専門家寄稿】「車1割削減、渋滞半減、公共交通2倍」をめざして -第1回-
~第 1 回:熊本の渋滞の実態とバス会社の挑戦~
㈱トラフィックブレイン 代表取締役社長 太田 恒平氏
はじめに
熊本都市圏では近年、「政令市ワースト」とされるほど渋滞が社会問題化している。また、市電の
トラブル、バスや熊本電鉄の減便、JRの混雑など、公共交通の暗い話題も散見される。一方で、こ
の難攻不落な交通問題の解決に向けて、「車 1 割削減、渋滞半減、公共交通 2 倍」を掲げた産官学連
携の構想が動き始めていることはご存じだろうか?本稿では 3 回にわたり、この構想のコンセプト
や、交通問題解決への処方箋を、データを使いながら示していく。
目次
1.熊本の渋滞の実態
2.「車 1 割削減、渋滞半減、公共交通 2 倍」とは
3.バス利用者 2 倍への挑戦
4.信号改善のポテンシャル
レポート一部
1.1 世界 4 位の渋滞が熊本の成長のネックに
熊本の渋滞は「政令市ワースト」どころか、実は世界レベルで酷い。世界の交通情報を収集・分析
しているTomTom社(本社:オランダ)が発表した「TomTom Traffic Index 2024」にて、熊本市は
渋滞レベルで国内ワースト・世界 4 位になるなど軒並み上位にランクインした(図表 1 )。2024年 8
月には、台湾の経済部長(経産大臣に相当)が、熊本の問題点として渋滞が改善されていないことを
指摘した。TSMC自体の進出に加え、半導体関連企業のさらなる拡大に経済界からの期待は高い一方
で、それに伴う社会問題として渋滞が度々報じられるようになった。
