【熊本経済100年史】 第1回 製造業の変遷
はじめに
2025年は昭和元年(1926年)から数えて100年の節目の年となる。この間、熊本の経済は幾度となく変貌を遂げてきた。本号から連載を始める「熊本経済100年史」は、消費、観光、生産、雇用といった切り口を通して熊本の経済がどのように形づくられてきたのかを明らかにし、未来への展望を描くことを目的としている。初回は製造業の変遷について考察する。
目次
- 熊本県における製造業の位置づけ
- 製造品出荷額からみる県内製造業
- 事業所数と従業者数の推移
- 熊本県などの取組み
レポート一部
1.熊本県における製造業の位置づけ
まず、熊本県における製造業の位置づけを確認する。2022年度の製造業の総生産額は 1 兆4,169億円。県内総生産額 6 兆5,651億円に占める割合は21.6%で経済活動別で最大だった(図表1)。2022年の国内総生産に占める製造業の割合は20.0%なので、全国をわずかに上回った。
2023年調査の事業所数、従業員数、製造品出荷額、付加価値額の主要 4 項目は、全国では25~31位と中位に位置し、九州では 2 ~ 3 位となっている(図表2)。なお、付加価値額とは製造品出荷額から原材料使用額などを差し引いたものである。減価償却などの固定資産減耗を含まない点で、総生産額とは異なる。

