【眺望】 「世界に開かれた熊本」へ ~半導体が拓く、くまもと新時代~ 熊本県商工労働部長 上田 哲也 氏

熊本県商工労働部長
上田 哲也 氏
熊本が、静かに、しかし確実に世界地図の中で存在感を増しています。きっかけは、令和 3 年11月に発表された世界的半導体企業TSMC社の進出。あの瞬間から、熊本の時間軸は“未来”に向かって加速し始めました。
本県では、TSMC進出決定以降、半導体関連企業の進出が相次いでおり、令和6 年度末までの立地協定件数は64件に上ります。新たな雇用の創出や地場企業との取引拡大はもちろん、定住・関係人口、地域購買力、また将来にわたる税収の増加など、経済波及効果は多岐にわたります。
九州フィナンシャルグループの試算によれば、TSMCや半導体関連企業の集積が県内にもたらす経済波及効果は、2031年までの10年間で約11兆2,000億円。これは、熊本の未来を切り拓く大きな原動力となります。
一方、それに伴う課題もあります。交通渋滞や地下水の保全、農林畜水産業との両立など、地域の暮らしとどう調和していくか。私たちはその課題にも正面から向き合い、持続可能な成長を実現するために全庁をあげて取組んでいます。
本県では、今年 3 月に「くまもとサイエンスパーク推進ビジョン」を策定しました。目指す姿は、企業の集積にとどまらず、国内外の大学や研究機関等も立地することで、産学金官の連携による連続したイノベーションと熊本発の新しい産業の創出です。そのことが、人材の確保と育成に大きく寄与するものと考えています。
どんどん進化していくAI、自動運転、ロボットや遠隔診療等がここ熊本で社会実装され、一歩進んだ未来社会で生活することを想像するとワクワクしませんか?
まずは、セミコンテクノパーク周辺から展開し、並行して進む「UXプロジェクト」等と連携しながら県内全域に波及させ、将来的には、「新生シリコンアイランド九州」の実現、さらには東アジアを代表する産学金官連携拠点を目指します。
将来に必要とされる新たな産業が、ここ熊本から生み出され、お子さんやお孫さんが喜んで熊本で暮らし続け、また、全国・全世界から熊本が選ばれるような世界に伍する産業拠点となるよう取組みを進め、持続的で活力あふれる熊本の未来を「県民の皆さまと共に創っていきましょう!
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