熊本県での消費行動はどう変化しているのか ― 物価上昇局面における節約志向

物価上昇が続く中、熊本の経済動向を読み解く上で、県民の消費行動は重要な指標となります。
本稿では、2025年10月に熊本県在住の20歳以上の男女2,071人を対象に実施した「消費予報調査」の結果をもとに、消費の志向や行動の実態を紹介します。
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支出動向

今後1年間の世帯支出について尋ねたところ、「増える」と回答した層は39.7%、「変わらない」が45.1%、「減る」が15.2%という結果になりました。
支出が増える理由では、「物価上昇」が83.6%と突出して高い結果となりました。「ライフイベント」が25.2%、「旅行」が17.5%と続きましたが、「買いたいものが増える(増えそう)」はわずか3.5%でした。
一方、支出が減る理由は「節約を意識」が58.7%で最多となり、「ライフスタイルの変化」が23.5%と続きました。年代別に見ると、年代が上がるにつれて「増える層」が少なくなる傾向が見られました。
費目別支出動向

費目別では、支出が「増える」と予想される項目の1位は「食料品(食品宅配を含む)」で51.2%と過半数を占めました。
2位は「外食(出前・テイクアウト含む)」の26.6%で、食料品と合わせて物価上昇の影響が大きいと考えられます。
一方、支出が「減る」と予想される費目は、「宿泊を伴う旅行・レジャー」が28.4%と最多で、「宿泊を伴わない旅行・レジャー」が26.2%、「外食」が24.8%と続きました。
特に「外食」と「宿泊を伴う旅行・レジャー」は増減の二極化が見られました。
また「趣味等」「スポーツジム等」「デジタルコンテンツ」では、「変わらない」層が他の費目と比べて多い結果となりました。
貯蓄・投資の動向

貯蓄については、「増える層」が20.7%だったのに対し、「減る層」が35.0%と上回りました。一方、投資は「増える層」が19.9%で、「減る層」の16.6%をやや上回っています。
また、保険は「変わらない」が74.5%と大半を占めました。
消費動向

衝動買い
節約志向が高まる一方で、「最近『つい買ってしまった』商品・サービス」がある層は35.0%でした。女性が36.2%と男性の33.5%をやや上回っています。
年代別では20代が49.5%と最も高く、年代が上がるにつれて低下し、60代以上では24.8%となりました。
購入品目は「服」や「お菓子」「化粧品」などが中心で、「美顔器」「エステ」など美容関連や、「釣具」「フィギュア」など趣味性の高い支出も見られました。
衝動買いの金額中央値は5,500円で、半数がこの金額以内に収まる一方、10万円超の高額消費も57件確認されました。腕時計や宝飾品、パソコンやスマートフォン、バッグなどの回答が目立ちましたが、エステや脱毛など美容に関する消費も一部見られました。
志向・価値観のセグメント分析
消費に対する志向・価値観を「価格重視(安さ)志向か価値重視(価格に見合った価値を求める)志向か」と「EC(インターネットでの購入)志向(利便性・タイパ)かリアル店舗志向(吟味・こだわり)か」で尋ね、4象限でセグメント分析を実施しました。
EC志向をタイパ重視、リアル店舗志向をこだわり型としています。
全体としてはほぼ均等に分散した一方、性別・年代別では特徴的な結果が得られました。
価値重視とリアル店舗志向の「価値重視こだわり型」には20代男性と60代女性、価値重視とEC志向の「価値重視タイパ型」には40代男性、価格重視とリアル店舗志向の「堅実型/節約型」には20代女性、価格重視のEC志向の「価格重視タイパ型」には50代男性が位置する傾向が見られました。
30〜40代にかけては「EC志向」、20代と60代が「リアル店舗志向」という特徴があり、「価格重視(安さ)志向」に全体の重心がやや偏っています。
また、「モノ消費志向」と「コト消費・トキ消費志向」のどちらを重視するかについては、モノ消費志向が全体で66.7%と約3分の2を占め、コト消費・トキ消費志向の33.3%を大きく上回りました。
消費行動を一言で表すと

「あなたの消費行動を『一言』で表すとすれば何ですか」という自由回答では、「倹約」「節約」といった現実的な声が目立つ一方で、「メリハリ(消費)」も同程度に挙げられました。さらに、「趣味」「健康」「投資」などのキーワードも一定数見られ、「幸福」と「苦」といった相対する言葉が並ぶ点も特徴的でした。
結論

本調査では、多様な価値観や消費行動が見られた一方、全体を通しては節約や倹約など消費に対して守りの印象が色濃く表れる結果となりました。
これは昨今の物価上昇と、実質賃金が未だプラスに定着していないこと(2025年11月現在)を反映した結果だと言えます。
近年のコト消費などの傾向は、消費の選択肢が広がった結果の一つであり、一つの断面だけ捉えることなく、あくまで「リアルな足元」を的確に捉える調査が今後も重要であると考えられます。
熊本での消費行動について、レポートに詳細にまとめています。
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