2026年の熊本県内経済の展望と企業経営の課題

2025年11月上旬に熊本県内の主要企業452社を対象に実施した第21回経営者意識調査(有効回答217社、回答率48.5%)から、2026年の県内経済の見通しと企業が抱える経営課題が明らかになりました。
本稿では、調査結果をもとに2026年の県内経済の展望と企業経営の課題について紹介します。
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景気改善見込みは46.1%

2026年の県内景気については、「改善する」(「良くなる」「やや良くなる」の合計)との回答は46.1%となり、前年から11.1ポイント低下しました。5割を下回るのは、2021年の調査で33.0%となって以来5年ぶりとなります。
一方、「悪化する」(「悪くなる」「やや悪くなる」の合計)は11.1%で、前年より3.8ポイント増加しました。
景気が「改善する」理由としては、「TSMC進出の影響」が63.2%と最も多く、前年と比較して27.4ポイントの低下、次いで「訪日外国人数の回復」が43.6%で、前年と比較して17.9ポイントの低下となっています。
半導体関連企業の集積やインバウンド増加が引き続き県内景気を押し上げるとの見込みがあるものの、前年より大幅に減少しました。
一方、「悪化する」理由としては、「人手不足」と「個人消費の冷え込み」がそれぞれ54.2%と最も多く、「人手不足」は前年より5.8ポイント低下、「個人消費の冷え込み」は、前年より7.5ポイント増加しました。
現況は「横ばい」が5割弱

前年と比較した自社の業況については、「横ばい」が最も多く46.5%、「好調」(「好調」「やや好調」の合計)との回答は34.9%となりました。一方で、「不調」(「不調」「やや不調」の合計)との回答は18.7%となっています。
業種別では、運輸・情報通信業は「好調」が47.4%で約半数を占め、「不調」の10.6%を大きく上回りました。反対に、製造業は「不調」が32.0%と「好調」の24.6%を上回っています。
経営に影響を与える要因

自社の経営にプラスの影響を与えるものについては、「デジタル化の進展」が52.0%と最も多く、前年と比較して11.7ポイントの低下、次いで「生成AIなどの技術革新」が49.0%で、前年と比較して21.1ポイントの増加となりました。
一方、自社の経営にマイナスの影響を与えるものについては、「物価・原材料価格の変動」が70.4%と最も多く、前年と比較して3.9ポイントの増加、次いで「人手不足」が65.3%で前年と比較して2.2ポイントの増加となっています。
課題は人材育成

現在抱えている課題については、「人材の育成」が64.2%と最も多く、前年と比較して5.1ポイントの低下、次いで「人員の不足」が54.4%で、前年と比較して2.7ポイントの増加となりました。
今回新たに追加した「人件費の上昇」は51.2%と半数を超えており、賃上げの流れや最低賃金の改定などが影響しているとみられます。
また、今後重視していきたい施策としては、「人材育成の強化」が73.5%で、前年と比較して6.4ポイント低下したものの、前回調査に続いて最多となっており、次いで「採用活動の強化」が46.5%で、前年と比較して5.2ポイントの低下となりました。
ベースアップ実施予定は約5割

物価上昇を上回る賃上げとして重要な「ベースアップ」を予定している企業は49.3%にのぼり、前年の42.0%から7.3ポイント増加しました。
賃上げ理由としては「社員のモチベーションアップ」が83.7%で前年と比較して2.8ポイントの低下、次いで「人材の定着・確保」が77.2%で5.5ポイントの低下となりました。
「最低賃金の引き上げ」は42.4%で前年の30.1%から12.3ポイント増加と大幅に上回っています。
半導体関連企業の熊本県内進出

半導体関連企業の県内進出について、プラスの影響があるとする企業は38.0%で、前年と比較して0.8ポイントの低下、マイナスの影響があるとする企業は19.8%で11.3ポイントの低下となりました。
前年との比較では、プラスの影響は同水準で、マイナス影響への回答が減少しています。
プラスの影響の理由としては「進出に関連した間接的な受注」との回答が55.6%で最多、次いで「人口増加にともなう消費拡大」が42.0%となりました。マイナスの影響の理由としては「人手不足の深刻化」と「人件費の上昇」がともに92.7%で最多となっています。
生成AI活用が増加

デジタル化への対応については、ほとんどが前年と同水準の結果となりましたが、「生成AIの活用」が37.6%で、前年と比較して18.5ポイント増加して最も伸びました。
生成AIの活用状況については、「活用している」と回答した企業は33.6%、「今後は活用していく予定」の40.1%と合わせると7割を超え、前年の49.7%から増加しました。
活用していない理由としては、「現時点で自社の業務に必要としない」「倫理面やコスト面への懸念」「活用方法がわからない」などのコメントがありました。
活用目的としては前年と同様、「ビジネス文書の作成」や「提案書など企画資料の作成」が多い結果となっています。
SDGsは半数が経営方針に取入れ

SDGsへの取組みについては、53.0%の企業が経営方針に取入済みと回答し前年の50.5%を上回ったものの、経営方針への取入れを検討していると回答した企業は14.7%と前年の23.3%を下回りました。
対応を検討していない、または内容を詳しく知らないと回答した企業は32.3%で前年から6.0ポイントの増加となっています。
2030年の達成期限が迫るなかで、現時点で取組みが遅れている企業は47.0%にのぼります。
SDGsを経営方針に取り入れる理由としては、「企業の社会的責任として重要」が85.0%と最も多く、「企業価値向上のため」の61.2%の順となりました。
脱炭素への取組みについては、「省エネ対策」が最も多く80.4%となりました。前回よりも大幅な増加となり、エネルギー価格の高騰や深刻化する温暖化を背景に、省エネ対策を進めていることがうかがえます。
熊本県内企業の経営者意識調査について、レポートに詳細にまとめています。
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