熊本の経済成長はなぜ続くのか―半導体集積・投資循環・消費回復に支えられる2026年度の展望

2026年度の熊本県経済は、半導体関連産業の集積を主要な推進力として緩やかな成長を継続する見通しです。
名目県内総生産額は7兆1,231億円と過去最高水準に達し、実質成長率はプラス0.9%と見込まれています。
この成長を下支えしているのは、JASM第2工場建設や関連サプライチェーンの形成、設備投資の継続、道路整備および防災・減災投資の進展です。
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個人消費は緩やかな回復基調

個人消費は、前年度比で0.7%の増加が見込まれています。
近年は物価上昇が家計の購買力を抑制してきましたが、政府による物価対策の効果もあり、今後は物価上昇ペースが鈍化する可能性が示されています。
これに加え、大企業を中心とした賃上げの動きが継続すれば、これまで慎重姿勢が続いていた消費行動にも、次第に改善の兆しが広がると期待されます。
もっとも、実質賃金指数は依然としてマイナス圏で推移しており、個人消費が急速に回復する局面までは想定しにくい状況にあります。
産業集積が設備投資の押し上げ

半導体関連企業集積の投資が県内の設備投資を下支えする見通しで、設備投資は前年度比2.0%の増加が予測されています。
日本銀行の「短期経済観測調査結果(2025年9月調査)」によれば、全産業の設備投資額は2021年度以降、高い増加率を維持しています。
全国的にDXによる生産性向上への投資や、労働力不足に対応するための自動化・省力化投資、さらには脱炭素化に向けた設備更新などの投資需要が継続しています。こうした流れの中で、熊本県ではJASM(TSMC熊本)第2工場の建設投資が、設備投資を一段と押し上げると見込まれます。
一方で、資材価格の高止まりや関税政策を巡る不透明感といった下振れ要因も存在しており、企業が投資判断に慎重姿勢を強める局面も想定されます。設備投資を巡っては、成長期待とリスク要因が併存している点が特徴と言えるでしょう。
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住宅投資は低調見通し

住宅投資は前年度比で0.7%の増加が見込まれています。
熊本地震後の復興需要が一巡した後も、新設住宅着工は震災前の水準を上回って推移してきました。
2025年度には、建築基準改正を巡る駆け込み需要の反動により着工戸数は一時的に大きく減少しましたが、2026年度は、こうした反動減が一巡すると見込まれます。
ただし、資材価格の高止まりや住宅ローン金利の動向を踏まえると、回復に力強さは期待しにくく、緩やかな増加にとどまる見通しです。
公共投資は高水準を維持

復旧工事や防災・減災対策、道路網整備、半導体産業集積への対応などを背景に、公共投資は前年度比で1.2%の増加が見込まれます。
内閣府の「地域別支出総合指数」によると、熊本県の公共投資総合指数は、2017年以降高い水準を維持しています。
熊本地震や豪雨災害からの復旧工事に係る予算が引き続き計上されていることが、公共投資を押し上げる一因となっています。
加えて、半導体関連企業集積への対応や、渋滞解消に向けた道路網整備、防災・減災および国土強靭化関連事業、さらには県南地域を中心とした治水関連工事なども進められており、これら複数の要因により、公共投資は高水準を維持すると考えられています。
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結論

熊本県の経済成長は、単年度の一時的な押し上げによるものではなく、半導体産業を軸とした生産基盤の強化をはじめ、設備投資の継続、公共投資の高水準維持、個人消費の持ち直しといった複数の要因が重なり合った結果として捉えることができます。
これらの成長要因が相互に作用することで、県経済は安定した拡大基調を維持することが期待されます。
一方で、国際情勢や物価動向、金融環境といった外部要因の影響を受けやすい側面も依然として残されており、今後は成長の持続性とリスクへの耐性を高めていくことが重要な課題となるでしょう。
熊本県の経済成長について、レポートに詳細にまとめています。
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