熊本県における企業倒産動向 ー 過去5年間の統計推移

新型コロナウイルスや市場環境の変化が企業経営に与えた影響は、企業倒産の推移を通じてうかがえます。
本稿では、2020年末から2025年11月までの熊本県内における企業倒産統計をもとに、県内経済の現状を分析します。
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負債額の動きに見る「大型倒産」の影響

熊本県内の企業倒産を負債総額の推移から見ると、特定の月に大きく跳ね上がる傾向が確認されます。
例えば、2021年8月には負債総額が16億38百万円となり、前年同月比で10倍を超える水準に達しました。さらに2022年4月には、関係する3社が合計で45億円超の負債を抱える大型倒産が発生したことにより、当月の負債総額は46億53百万円と、前年同月の約28倍に膨らみました。
また、2023年3月にも28億円規模の大型倒産が発生し、月間の負債総額は38億円を超えました。
こうした大型倒産の影響は2025年にも見られ、特に4月には負債総額が86億45百万円と、4月単月としては歴代で3番目に高い水準を記録しました。
一方で、2025年9月には、全件が負債5千万円未満の「小口倒産」にとどまり、3年7カ月ぶりに比較的落ち着いた月となりました。ただし、その直後の10月、11月には再び負債総額が前年同月を上回っており、倒産動向はなお不安定な状況が続いています。
倒産理由の中心となる「販売不振」とコロナの影響

倒産原因別に見ると、一貫して「販売不振」が最も多くを占めています。
2020年12月には、発生した倒産5件すべてが販売不振を理由としており、2024年3月に10件、2025年6月に8件など、発生した全案件の理由が販売不振という月も見られます。
社会全体は日常を取り戻しつつあるものの、新型コロナウイルスの影響はなお倒産統計に影を落としています。2025年に入ってからも、7月および8月にそれぞれ3件のコロナ関連倒産が報告されました。
加えて、市況悪化にとどまらず、過去の資金繰り悪化や経営負担が時間差で表面化する、いわゆる「既往のシワ寄せ」を原因とする倒産も報告されています。
2025年4月には2件、10月および11月には各1件、こうした要因による破綻が発生しています。
連鎖倒産も散見

2024年以降は、「他社倒産の余波」を要因とする連鎖倒産も発生しました。
2024年8月、10月、11月には各月1件ずつ発生していましたが、2025年7月には同要因による倒産が3件に増加しています。
2025年7月には、負債額1億円以上の大型倒産が3件発生しましたが、これらはすべてひとつの企業に関連する連鎖倒産でした。
業界別に見る倒産の偏り

業種別に見ると、特定の時期に倒産が集中する業界が存在することも確認できます。
サービス業では、2025年6月時点で3カ月連続して業種別の倒産件数が最多となりました。
また、建設業についても不安定な動きが続いています。
2023年11月には、当月に発生した5件の倒産すべてが建設業という極端な事例が見られました。その後2025年に入ってからも、9月に3件、11月に2件と断続的に倒産が発生しています。
結論

この5年間のデータを総括してみると、熊本県の企業の倒産件数は月ごとの増減を繰り返しています。
注目すべき点は、倒産の様相が単なる「販売不振」にとどまらなくなっていることです。2025年4月に見られた数十億円規模の大型倒産や、同年7月に発生した関連企業への連鎖倒産、さらには過去の資金繰り悪化や経営判断の影響が時間差で表面化する「既往のシワ寄せ」による破綻など、現在の経営環境は複数の要因が複雑に絡み合う局面にあると言えます。
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